GhostPHPは、PHPで構築された軽量なMVCフレームワークであり、ルーティング、コントローラー、サービス、リポジトリの明確な分離を特徴とする。 このドキュメントでは、リクエストがアプリケーションを通過する流れを説明する。

1. ルーティング

ルーティングは、HTTPリクエストをアプリケーションの適切なコントローラーやサービスにマッピングする役割を担います。

主要コンポーネント

• Router クラス (aura/routes/Router.php): HTTPリクエストのルーティングを処理します。
• Request クラス (aura/https/Request.php): HTTPリクエストを表し、パスとメソッドを取得するメソッドを提供します。

機能

• GETとPOSTリクエストの登録
• パスとコールバック関数のマッピング
• 現在のリクエストの解決と適切なコールバックの実行

使用例

// index.phpでのルート定義
$app = new App();

// GETリクエストの登録
$app->router->get('signin', function () {
    (new UserService)->showSignInForm();
});

// POSTリクエストの登録
$app->router->post('signin', function () {
    (new UserService)->signin();
});

処理フロー

1. App クラスが Request と Router のインスタンスを初期化
2. index.php でルートが定義される
3. $app->run() が呼び出されると、Router::resolve() メソッドが現在のリクエストを解決
4. 一致するルートが見つかると、関連するコールバック関数が実行される

2. コントローラー

コントローラーは、HTTPリクエストを処理し、適切なサービスを呼び出し、レスポンスを返す役割を担います。

主要コンポーネント

• Controller 基底クラス (aura/Controller.php): すべてのコントローラーの基本機能を提供
• UserController (Controllers/UserController.php): ユーザー関連のリクエストを処理
• PostController (Controllers/PostController.php): 投稿関連のリクエストを処理

機能

• リクエスト、レスポンス、リダイレクト、バリデーションの処理
• CSRFトークンの生成と検証
• サービスレイヤーの呼び出し

使用例

// UserControllerの例
class UserController {
    protected $userService;

    public function __construct() {
        $this->userService = new UserService();
    }

    public function signup() {
        // CSRFトークンの検証
        if (!$this->checkToken('signup')) {
            echo 'Invalid token.';
            return false;
        }

        // ユーザーエンティティの作成
        $user = $this->makeUser($_POST, 'signup');
        
        // サービスの呼び出し
        $this->userService->signup($user);

        // リダイレクト
        Redirect::to('index');
    }
}

処理フロー

1. ルーターがリクエストをコントローラーのメソッドにマッピング
2. コントローラーがリクエストデータを検証
3. コントローラーが適切なサービスメソッドを呼び出す
4. コントローラーがレスポンスを返すか、リダイレクトを実行

3. サービス

サービスは、アプリケーションのビジネスロジックを実装し、コントローラーとリポジトリの間の仲介役を果たします。

主要コンポーネント

• Service 基底クラス (aura/Service.php): すべてのサービスの基本機能を提供
• UserService (services/UserService.php): ユーザー関連のビジネスロジックを実装
• PostService (services/PostService.php): 投稿関連のビジネスロジックを実装

機能

• ビジネスロジックの実装
• トランザクション管理
• テンプレートのレンダリング
• セッション管理
• CSRFトークンの生成と検証

使用例

// PostServiceの例
class PostService extends Service implements IPostService {
    public function create() {
        // CSRFトークンの検証
        if (!$this->checkToken('post_create')) {
            echo 'Invalid token.';
            return false;
        }

        // トランザクション開始
        $this->beginTransaction();

        try {
            // リポジトリのインスタンス化
            $post = new PostRepository();
            $post_request = $this->makePost($_POST);

            // リポジトリメソッドの実行
            $result = $post->createPost($post_request);

            if (!$result) {
                throw new \Exception('Post creation failed.');
            }

            // トランザクションのコミット
            $this->commit();

            // リダイレクト
            Redirect::to('post');
        } catch (\Exception $e) {
            // エラー時のロールバック
            $this->rollBack();
            Redirect::error(500);
        }
    }
}

処理フロー

1. コントローラーがサービスメソッドを呼び出す
2. サービスがビジネスロジックを実行
3. サービスが必要に応じてリポジトリを呼び出す
4. サービスがトランザクションを管理
5. サービスが結果を返すか、リダイレクトを実行

4. リポジトリ

リポジトリは、データベースとのやり取りを担当し、エンティティの永続化と取得を行います。

主要コンポーネント

• Repository 基底クラス (aura/Repository.php): すべてのリポジトリの基本機能を提供
• UserRepository (repositories/UserRepository.php): ユーザーエンティティのデータアクセスを実装
• PostRepository (repositories/PostRepository.php): 投稿エンティティのデータアクセスを実装

機能

• 基本的なCRUD操作（作成、読み取り、更新、削除）
• エンティティ固有のデータアクセスメソッド
• PDOを使用したデータベース操作

使用例

// UserRepositoryの例
class UserRepository extends Repository implements IUserRepository {
    public function __construct() {
        parent::__construct('users');
    }

    public function signup(User $user): bool {
        $data = [
            'name' => $user->getName(),
            'email' => $user->getEmail(),
            'password' => password_hash($user->getPassword(), PASSWORD_DEFAULT),
        ];

        try {
            return $this->create($data);
        } catch (\Exception $e) {
            error_log($e, 3, '/log/error.log');
            return false;
        }
    }

    public function getUserByEmail(string $email) {
        try {
            return $this->findByColumn('email', $email);
        } catch (\Exception $e) {
            return false;
        }
    }
}

処理フロー

1. サービスがリポジトリメソッドを呼び出す
2. リポジトリがデータベース操作を実行
3. リポジトリが結果をサービスに返す

5. 全体のフロー

GhostPHPアプリケーションでのリクエスト処理の全体的なフローは以下の通りです：

Client → Router      : HTTPリクエスト送信
Router → Controller  : ルート解決、該当コントローラーに転送
Controller → Service : リクエスト検証・バリデーション後、サービスメソッド呼び出し
Service → Service     : ビジネスロジック実行
Service → Repository  : データアクセス依頼
Repository → Database : SQL実行
Database → Repository : データ返却
Repository → Service  : 加工済みデータ返却
Service → Controller  : 処理結果返却
Controller → Client   : レスポンス生成・画面表示またはリダイレクト

具体的な例：ユーザーサインアップ

1. ルーティング:
   • クライアントが /signup にPOSTリクエストを送信
   • Router がリクエストを解決し、UserService::signup() を呼び出す
2. サービス:
   • UserService::signup() がCSRFトークンを検証
   • トランザクションを開始
   • UserRepository のインスタンスを作成
   • フォームデータからユーザーエンティティを作成
3. リポジトリ:
   • UserRepository::signup() がユーザーデータをデータベースに保存
   • パスワードをハッシュ化
   • 基底クラスの create() メソッドを使用してSQLを実行
4. サービス（続き）:
   • 結果に基づいてトランザクションをコミットまたはロールバック
   • 成功時にユーザーをインデックスページにリダイレクト

この流れにより、関心事の明確な分離が実現され、コードの保守性と拡張性が向上します。